スコーピオンのモデルとなった実在の人物、ウォルター・オブライエンの真実に迫る

*** ネタバレの内容を含みますのでご注意ください ***
このブログでは、『SCORPION/スコーピオン』に登場する英語フレーズの解説や詳しいあらすじを紹介しています。
関連記事やほかのエピソードの記事もご覧ください! シーズン1の記事一覧は、こちらから
「SCORPION/スコーピオン」シーズン1が日本でも始まりましたね。
主演は、「ボディ・オブ・プルーフ/死体の証言」でアダム・ルーカスを演じるエリス・ガベルです。
(Photo:CBS)
このドラマは、冒頭に「ウォルター・オブライエンの物語」とあるように、ウォルター・オブライエンという実在の人物がモデルになっています。
彼はIQ197の天才で、「Scorpion Computer Serices」という会社のCEOを務めています。
オブライエンについては、こちらの記事もどうぞ。
ドラマによって彼は注目されるようになり、その経歴や実績がいろいろなところで取り上げられるようになったのですが・・・。
「彼の主張には誤りがあるのでは?」という声があちこちから上がっているようです。
そのあたりを取り上げた記事(英語)を見つけたのでご紹介したいと思います。長いので、要約しました。
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ハッカー対スコーピオン: ドラマ『スコーピオン』で話題のウォルター・オブライエンの実像を徹底解明
ウォルター・オブライエンが主張する「実績」について、ITエキスパートやコンピュータオタクは疑問を抱いているようだ。
ドラマ『スコーピオン』は実話なのか?
CBSのドラマ『スコーピオン』は、ウォルター・オブライエンというIQ197の実在のハッカーをモデルにしている。
「スコーピオン」は彼が実際に使用していたハッカー名であり、オブライエンはこのドラマのエグゼクティブプロデューサーでもある。
オブライエンはさまざまなメディアに登場し、彼の実績などが紹介されているが、ITの専門家、ハッカー、コンピュータオタクたちの間では、「矛盾や誇張があるのではないか」という声が上がっているという。
そこで、真実を解明するために、オブライエン本人に疑問をぶつけてみることにした。
ウォルター・オブライエン(Photo: courtesy of CBS)
我々の質問に対して、オブライエンはメールで回答してくれた。
ただし、「仕事や実績については機密保持契約の対象になっている内容は公開できない点と、時間の関係で回答できない質問がある点を理解いただきたい」という条件付きだ。
IQについて
「Google検索のIQトップ10リストにオブライエンの名前がない」という点について、オブライエンは「IQテストを受けたのはわずか9歳で、リストへの登録に書類が必要だとは知らなかった」と答えている。
コンピュータオリンピックへの出場
オブライエンのWebサイトによると、1993年アルゼンチンで開催されたコンピュータオリンピック(旧称:Informational Olympiad in Informatics)にアイルランド代表で出場した、とある。
ところが、その年の参加者に彼の名前はない。
これについて、彼はこうコメントしている。 「アイルランドからの参加申込書が締め切りを過ぎていたからだ。我々は例外措置として参加を認められた。アイルランドは登録されていないが、参加したのは事実だ。」
参加証明書(イベント開催者の署名がある)
バナーの前で記念撮影(オブライエンは右端)
事業規模と拠点
Scorpion Computer Servicesについては、世界20カ国に2600人の従業員を擁し、13億ドルの売り上げを達成しているという情報もあれば、事業規模は100~1000万ドル、従業員は1~15人、アパートの一室が拠点、という情報もある。
さらにややこしいのは、オブライエンのWebサイトに「Scorpion」の社名が入ったビルの画像が掲載されている点だ。
このビルは、ドイツのバート・ドリーブルクにあるLeonardo Glass Cubeにそっくりなのだ。
オブライエンによると、「Scorpion Computer Servicesは不要なコスト削減のためバーチャルオフィスで展開している。およそ2600人の契約社員がいて、大規模なソフトウェアの問題解決に対応できる体制がある」という。
「ほとんどのシステムはクラウドベースまたはクライアントの大規模データセンターに設置されている。仕事はクライアントの設備でオンサイトで行うか、ラップトップからリモートで行っている。住所には私書箱を使用している」。
写真については、「誤解を招く画像を掲載してしまい、申し訳なく思っている。クールな画像だったのでWebサイトのデザイナーが数年前に掲載した。ガラスにサソリのシッポが映っている点と背景に空が映っていない点から、実物の画像ではないことは明らかだと思うのだが。しかし、本社ビルと誤解してしまう人もいるだろう」。
ドラマ制作のきっかけ
『SCORPION/スコーピオン』のドラマ制作のきかっけについても、矛盾があるという。
オブライエンによると、彼がスクーター・ブラウン(ドラマのエグゼクティブプロデューサーの1人)にアプローチし、自らをモデルにしたドラマ制作のアイデアを持ち込んだという。
オブライエンいわく、「優秀な人材を獲得するために、天才的スキルを持つオーディエンスにアピールしたかった」。
ところがブラウン氏は、ウォルターにアプローチしたのは自分だ、と主張している。
ただし、Techmanity(シリコンバレーのテクノロジイベント)でのカンファレンスを記録した動画では、オブライエンとブラウン氏が登場し、「オブライエンのバージョン」が語られていた。
(Photo: Cliff Lipson/CBS)
NCIS LAから。ケイブ・ガロ(ロバート・パトリック)とへティ・ラング(リンダ・ハント)が、ウォルター・オブライエン(エリス・ガベル)にブリーフィングを行うシーン
*** へティについてはこちらの記事もどうぞ!
テロリズム対策への協力
国家安全対策への協力についても、疑問の声が上がっているという。
1つ紹介しよう。
オブライエンはボストンマラソンの爆破犯逮捕に貢献したと言っているが、詳細がはっきりしない。
半径2マイルにあるすべてのカメラでモーショントラッキングを行ったという説や、「顔認識テクノロジ」を使ったという説がある。
それだけ大量のデータを収集/処理するには、膨大な設備と処理能力が必要になるだろう。それを3日足らずで完了するとは、信じがたい。最先端の感情認識ソフトウェアがどれだけ高度な機能を備えているかは不明だが、絶えず行き来する無数の人々の表情を、何千もの監視カメラで識別するなんて可能なのだろうか。
たとえコンピュータで処理可能だとしても、膨大なデータの中から爆破犯を特定するのは、大量の干し草の山の中から針を探すようなものだ。
これに対してオブライアンは、「私の会社の業務は、特に軍や政府機関に関連するものについては、秘密保持契約の対象になっているので詳しい内容を開示できない」とコメントしている。
そして、「私は、自分の仕事、会社、そして我々が成し遂げてきた素晴らしい実績に誇りを持っている」と締めくくった。
[Photo: Adam Taylor, courtesy of CBS]
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ちょっとした感想
この記事に掲載されている内容は一部でしょうから、もっといろいろあるんですよね。
いずれも「公式なエビデンスがない!」というのが論点のようですが、13歳の時にNASAをハッキングして軍のヘリが来たってだけで、もう十分な証明になってる気がするけど・・・。
それに、ハッカー名が「サソリ」だなんて、なんだか男の子らしくて可愛いじゃないですか。
制作側も、ドラマ制作にあたってある程度、裏は取っているはずだと思うのです。
また、最新テクノロジについては、米軍がバックにいるのならば「あり」なのかな、と思います。だって、UFOのテクノロジさえ持っているとウワサされる米軍ですよ~(『Xファイル』の見過ぎか・・・)。
我々民間人が想像もつかないテクノロジが開発されていても不思議はないけど。
ビルの画像については「それはアカンだろ~笑」と思いましたが・・・。
サソリのシッポと空がないってことで、オブライエン氏としては「実写ではないのは一目瞭然」、紛らわしいかどうかなんて考えもつかなかたんでしょうね。それが天才というものか。
話題を集めるということは、それだけ人気が高いということですよね。
この記事は、2014年10月のものです。これからもオブライエン氏をウォッチしていきたいと思います!
いずれにしても、ドラマはドキュメンタリーではありません。引き続き楽しみましょう!
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