海外ドラマによく出てくるグアンタナモ収容所とは:NCIS LAから

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犯罪捜査の海外ドラマには、「グアンタナモ」がよく登場します。

グアンタナモ湾収容所、グアンタナモ米軍基地、キャンプデルタ、Gitmo、GTMOなどいろいろな呼び名が使われますが、正式には「グアンタナモ海軍基地内のキャンプデルタ」です。

『クリミナル・マインド』、『アロー』、『パーソン・オブ・インタレスト』、『ホームランド』、『バーンノーティス』、『ザ・ブック』など、いろいろな海外ドラマに登場しますが、なんといっても一番登場頻度が高いのが『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』と『NCIS:LA~極秘潜入捜査班』でしょう。

 だいたい、捜査員が容疑者に「~しないとグアンタナモ行きだぞ」と脅すパターンと、犯人が「グアンタナモから仲間を解放しろ」と要求するパターンがあります。

 

NCIS LAシーズン3第13話「葛藤」(Exit Strategy)から。

Hell, I’ll send you to Guantanamo Bay if I want.
お望みならば、グランタナモに送ってやるぞ。

 

こちらにも登場します。

『ザ・ブック/CIA大統領特別情報間』(State of Affairs)シーズン1第1話「苦渋の選択」(Pilot)から。

If you fail to release 25 of our brothers from the prison compound in Guantanamo Bay, we will spill your blood.
我らの同胞25人をグアンタナモ湾収容所から解放しないと、血をみることになるぞ。

 

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ドラマに何度も出てくるので「よっぽどコワイ所なんだなぁ」と思っておりましたが、調べてみると本当に恐ろしい場所でした・・・。

グアンタナモとは、キューバの南東部にある都市であり、アメリカ海軍の基地があります。海軍基地なので、NCISによく登場するんですね!

歴史的背景は、というと・・・。
1898年の戦争で米軍が占領し、当時のキューバ新政府がアメリカにグアンタナモ基地の永久租借を認めました。その後、キューバ革命が発生して国交が断絶しますが、引き続きアメリカは居座ります。

2002年、ブッシュ政権時に、グアンタナモ収容キャンプが設立され、アフガニスタン紛争やイラク戦争で逮捕されたテロリストが収容されました。

 

では、「グアンタナモ行きだぞ」がなぜ脅し文句になるのでしょうか。

そもそもグアンタナモはアメリカではないので、アメリカの法律が及ません。さらに、キューバの法律も及ばないのです(治外法権区域)。つまり、軍規制だけで統制される無法地帯です・・・。

キューバとアメリカの牽制合戦で周囲は地雷原と化し、メディアは近づけず、脱走も不可能です。アメリカでは、テロリストは「捕虜」ではなく「犯罪者」扱いなので、収容者は起訴も裁判もされず長期間拘束が続きます。

2004年に米軍による拷問がリークされ、過酷な尋問が日常化している、と国際社会からしばしば避難されてきました。現状を伝える記事などいくつか読んでみましたが・・・ 悲惨で読んでいられませんでした・・・。

そしてこういった状況をカストロ議長も批判してきましたし、キューバ政府は継続して返還を求めてきたのです。

 

オバマ大統領は2008年の大統領選で、グアンタナモの収容設備の閉鎖を公約として掲げましたが、「テロリズムの危険」という理由で議会の反対があり、進展していません。

ところが先日、オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長がパナマ市で会談しましたね。新聞の1面を飾りました。1961年の国交断絶以来、初めてだそうです。
ラウル・カストロ議長は「あらゆることが議題になる」と述べていますから、国交正常化に向けて、グアンタナモは間違いなく議題に上がることでしょう。

アメリカとキューバの国交正常化、私は海外ドラマの観点からウォッチしていきたいと思います。
もしかすると、海外ドラマから「グアンタナモ送りにするぞ」という台詞が消える日が来るかもしれません。それとも、脱獄不可能と言われたアルカトラズのように、グアンタナモをテーマに新たなドラマが制作されるかもしれませんね。

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